カウンセリングをしてくれるAIとの会話がとにかく面白い。人工知能なのにとぼけた人間味を感じさせるAIとのやり取りを読んでいるうちに、人間とはなにか?心とはなにか?などと読み手は考えさせられる。人は人に癒やされるとするなら、このAIはもはや「人」だろうか。
面白かった~。取り扱っているテーマじたいはとても重いはずなのに、ギャグのセンスがよくて細かい部分で笑いを稼いでいくのであまり重さを感じさせません。話を転がしながら読者に無理なく設定を呑み込ませていくのがとても上手で、会話のテンポがいい! クスクス笑って油断していると深いところまで運ばれてしまう不思議な作品です。
構成が巧みだと思いました。メンタルケアをAIが行う近未来の世界でカウンセリングルームに挑む女子高生のお話です。うーん。なんて言ったらいいかわからない。人を食ったようなAIの、別れ際のセリフが最高でした。なにかに躓いたから、ケアを求めて立ち寄る場所。立ち直るということ。その本質を、見た気がします。メタなんですよね、とにかく。創作行為すらメタ視点で物語に埋めこんでしまう。書いたり描いたりする人は絶対響くと思うんだよな~。おすすめです。