「いきもの」たちと共にあった子供時代の好奇心

「なぜ今までこの気持ちを忘れていたんだろう?」
というのが、この素晴らしいエッセイを読んで抱いた最初の感想でした。

バッタやザリガニの格好良さに見惚れ、トカゲが可愛くてたまらなくて、アリジゴクの面白さを何時間でも観察していられた、あの頃の気持ち。友達や兄弟と草むらに分け入り、森を探検していた頃の純粋な好奇心。

でも、それだけではなく、子供ながらに1人で何かに立ち向かわなければならなかったときの心細さ。それを乗り越えようと振り絞った勇気。兄弟に対して持っていた微妙な感情、喧嘩した後の仲直りしたい気持ち……。

「懐かしさは癒やしになる」というのは本当ですね。
連載中、このエッセイを読んだ後はいつも心が癒やされていました。

あの頃、夢中になっていたもの、子供なりに真剣に考えていたこと。心の屋根裏部屋に眠っていた宝箱を1つずつ開けて「ほら、こんなこともあったよね」と思い出させてくれる。そんな素敵なエッセイです。

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