マイヤの行動

 ヴァルッテリに会ったその足で、ガイアはマイヤのところに向かった。


「ご苦労様」

 ガイアが到着したのは、マイヤが明日のために色々、、用意している時だった。

「早速、お出かけですか?」

「えぇ。街を見ないとこの国が分からないでしょう? 出来れば移転術でなく、自分の足で来たかったわ」

「……いくらお嬢様といえど、辛いと思いますよ?」

 アベスカ男爵領からグラーマル王国王都まで馬車で半月、そこからローゼンダール帝国との故郷まで一月、その国境から新しい帝都まで二月。その間ずっと悪意に晒されるだろう。

「悪意なんてどうでもいいですわ。……グラーマル王国の血が公爵家に入るのが嫌だとごねる帝国貴族の方々とお話、、するいい機会でしたのに」

「……ですからそういうことを平気でおっしゃるのはお嬢様くらいですって」

 ベレッカが呆れたように言う。

「で、明日はお嬢様の護衛ですか? それとも代理ですか?」

「護衛よ。いっそのこと破棄していただきたいんですもの」

 破棄されてさっさとアベスカ男爵領へ戻りたい。そして、婿を見つけて結婚しよう。婿は帰りがけ見つけてもいい。そう思えば気も楽になった。


 その日はゆっくりと休み、マイヤは次の日に備えた。



 そして、公爵家の侍女たちが起こしに来る前にベレッカ、ガイアと共に部屋から出た。

「街へ行ってきます。夕方までには戻ります」

 それだけをローゼンダール帝国の言葉で書いて。



 起こしに来たのが侍女長だったためにことは露見し、ヴァルッテリは登城する前に愕然とすることになる。

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