思春期の少女と、生と性、そしてやがて還る海

何だか凄いものを読んでしまった、と、物語を一気に読み終えてしまってから思った。

初めは主人公・想子の学生生活を追った青春物語なのだろうか、と思いながら読んでいたのだが、姉の創子に会いに行くことになったところから全てが一気に変化する。

想子の今時の女子高生らしい、けれども独特な世界観による軽妙な語り口にぐいぐい引き込まれ、同時に焼け付くようなひりひりした感覚を覚えた。
それは思春期の少女の性との距離感の危うさや、何処へ行き着くかまるで分からない気だるげな江泊での暮らしへの焦燥感や、繰り返される海へのイメージに感じる憧憬と恐れだったりしたと思う。

際どい描写もあり、残念ながら万人に勧められるような物語ではない。
けれども、数話読み進めて琴線に触れた人には、是非とも最後まで読んで欲しい。

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