人でなしジュイキンの心臓

作者 富士普楽

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★★★ Excellent!!!

死んでも甦る。
そんな死と生の境界が薄い世界で、主人公は何よりも生を大切にして反逆の道を進んでいくーー

何よりも先に言いたいのは、バトル描写がとにかくかっこいいです! また死世感が曖昧な世界での心理描写が趣深く、この世界観に取り込まれました。

ダークファンタジーならではの展開で目を背けたくなることもありましたが、それでも結末が知りたく、ページを捲ってしまっていました。

とても面白かったです。

★★★ Excellent!!!

面白すぎるし完成度が高すぎる。ラスト数話を一気に読み終えた今、凄いものを読んでしまったという興奮がまだ冷めない。

本格的で臨場感溢れる功夫アクションは、まるで映画を観ているよう。単なるスチームパンクともつかない、機械と植物を融合させたオリジナルな中華ファンタジーの世界観は華麗かつ鮮やかでぐいぐい引き込まれる。
そして、主人公であるジュイキンを初めとした人物達の、生に苦悩しながらも己と向き合い命をかけて闘う様の美しい苛烈さ。

更に個人的な意見を付け加えるならば、猫!!ジュイキンの愛猫ミアキンの可愛さは必見。もうとにかく必見。
猫好きにもおすすめな、本格中華アクションファンタジーである。

★★★ Excellent!!!

人を人たらしむるは何か。
思想か、情操か、魂魄か。
人の形に見える肉体があれば、人と呼び得るのか。
人から何が欠ければ、その者は人でなくなるのか。

幼いころ、魂を持たぬ存在「ニング」に襲われ、
自身もまた人ならぬ身へと堕ちたジュイキンは、
狂犬のような悪童時代と師父の下での修行を経て、
特殊組織「八朶宗」の戦闘要員として動いている。

ジュイキンはある任務の最中、致命傷を負った。
彼の命を救った天才外科医は因縁の人物であり、
その手術に使われた「樹械」の心臓の出処は
八朶宗が撲滅すべき敵と見なすテロ集団だった。

斯くして、二重三重に常人から外れたジュイキンは、
生まれながらに業を背負う8歳の青年グイェンと共に
思惑と妄執が錯綜する魔都を駆け、敵襲を迎え撃ち、
胸に埋められた心臓の正体、真に破るべき敵を知る。

中華風の背景に欧州的な近現代の影響が溶け込み、
植物と機械のハイブリッドによる科学が栄える、
という独特のパンクな世界観を絵で見てみたい。
絶妙にかわいい黒猫ミアキンをもふもふしたい。

死闘に次ぐ死闘の果てに誰が生き残るのだろう?
物語がどう進むか最後までわからず、一気読み。
残酷な展開に胸が痛くなるのは、登場人物の誰もが
ひたむきに答えを求め、何かを愛そうとするからだ。

魂とは何か、死とは何か、永遠の命は存在し得るか。
この世は不完全か、神灵はこの世を完全たらしむか。
生と死、葛藤と本能、苦悩と希望の狭間で、
ジュイキンは選び、戦い、守り、破壊する。

★★★ Excellent!!!

細かく編み上げられたオリジナル設定を持ちながら、
内功や峨眉刺などの武侠小説好きには堪らない単語も随所に現れ、
加えて式神や仙術の類までもが登場する一風変わった幻玄ファンタジー世界。

えぇい、私の好きなものがたくさん詰まっているではないか!
これを読まずにいられるか!

主人公は如何にして兄との不和に終止符を打つのか?
明るい相棒が密かに身内に抱える葛藤は?
師匠殺しの疑惑の真相は?
そして、敵対組織による「神灵殺し」の真意とは?

多くの謎が現れた第一幕終了時点、今後の展開も目が離せない。

★★★ Excellent!!!

神が魂を下賜し、死者の復活が約束された世界。
魂を失った『ニング』は罪人とされ、人間の社会で生きることを許されない。
そんな『ニング』でありながら、同族を狩り続けるジュイキンが主人公の中華風ダークファンタジーです。

卓越した描写によって豪華絢爛かつ混沌とした世界に一気に引き込まれてしまいました。
独特の死生観に基づいた風俗の構築は圧巻の一言。
時折挟まれる煌びやかな街の様子や、そこで暮らす人々の息づかいもリアルに感じられます。
世界観は丁寧に練り込まれ、まるで自分もその作中世界を歩いているかのように生活感や空気までが伝わってきました。

戦闘描写もまた無駄がなく、立ち会いの迫力が伝わってきます。

登場人物も魅力的で、初めは抜き身の刃のような鋭さを持っていたジュイキンが天真爛漫な相棒グイェンと出会ってからの変化が微笑ましく、そしてどこか切ない。
そして異端児として生まれたグイェンはあどけないながらも、
煌びやかさの中に暗闇を抱え込んだ世界をまっすぐに捉えている様にはっとさせられます。

もう二度と会うことはないと思っていた兄との再会、ニングのテロリスト集団、そしてジュイキンの心臓。
謎は深まっていくばかりで、今後も目が離せない作品です。

★★★ Excellent!!!

幼き頃にニングとなった青年、ジュイキン。
この物語は、彼の再びの死と人生の転換の物語だ。
中華風の世界を舞台に、魂のあり方を巡る戦闘活劇。
何故生きる、どう生きる。
ニングという存在を筆頭に、死のあり方が違う世界だからこそ、それを問われ、ジュイキンもそれに向き合い立ち向かう。
生きろ、戦え。

★★★ Excellent!!!

 藤節ですよ。
 あのゾンビが日常的に生きる都市を描くことでカクヨムにネクロパンクという概念をもたらした名作インゴルヌカの作者である藤さんがまたも衝撃の一本を出してくれました。
 今度の舞台は中華風!
 影を持たぬ人々と彼等を取り巻く厳しい環境、その中で事件を解決する快男児の主人公。
 藤作品特有の独創的な設定と独創的な世界観を更に研ぎすませた最新鋭の藤作品!
 これは見なければ損ですよ!

★★★ Excellent!!!

中華ファンタジ―活劇!それだけじゃない、兄と弟のそれぞれの葛藤、幼くも壮絶な出生と折り合いをつけた明るい少年と、あまりにも現実を見すぎたゆえに乾いた心を持つ青年のバディ!そういった普遍的なおいしい魅力もあるので是非読んでください!面白いですよ!

★★★ Excellent!!!

とにもかくにも、圧倒的に贅沢なエンターテイメント。
細密な世界観を精緻な文体で描きながら、そのスピード感と味のあるキャラクターが軽やかさも生んでいる……という、ちょっと格好つけた感じのレビューを書きたくなる、めちゃくちゃ格好いい世界です。
猫もかわいい。

富士さんの世界は非常に色彩が鮮やかだと思う。インゴルヌカにおいて、北欧・雪の世界におけるモノトーンの狭間に見えたはっとするような色味が、今作では中華世界の七色を惜しげもなく放射する。文章が豪華なのだ。それとは対称に、登場人物達のやりとりは軽妙で分かりやすい。戦闘も流石の筆致で、迫力があり読み応えがある。白酒とか紹興酒なんかをやりながら、じっくりと世界に触れて欲しい作品です。続編が待ち遠しい。

★★★ Excellent!!!

 第一幕まで読了。
 作者の方の前作『インゴルヌカ』とも共通していますが、独自の世界観・文化体系の作り込みが尋常でなく細やかです。そして「都市」の描き方もやはり白眉。暗黒街・媽京の妖しい情景描写が読んでいて非常にそそりました。
 第一幕で主要登場人物と主人公が背負うマグガフィン的な物が出揃い、作品ストーリーの本番はこれからといったところ。けれど、始めと終わりを屈折した兄弟愛で繋いで無駄ない伏線回収で起伏をつけて、この第一幕だけでもまとまるある一つの物語として成立しており、充実した読後感でした。
 第二幕以降も期待大です。

★★★ Excellent!!!

何度も読んだ。
読むたびに心が震えた。
大好きな作品の1つです。

荒俣宏や大塚英志を彷彿とさせる厚みのある世界観に武侠小説のそれを重ねたところが既に大興奮です。そして軽快な会話と細かい伏線の回収を盛り込んだ娯楽としての側面も十二分。

技法的には前作のインゴルヌカと同様、完成された世界観の中で欠けたものを持つ主人公が迷いながら戦う冒険小説のスタイルです。全編を通して全てのキャラクターが繊細で感情の一貫性があり、これだけ用語がとびかう話でありながら、煩雑になっておらず、素直に楽しむことができました。個人的な好みはスー・グイェンですね。奔放で情に厚くジュイキンを何かと案じる彼は武侠小説やカンフー映画ではよくいる定番のタイプですが、良い奴だなあと思います。

シーンとしては列車の中の格闘戦がお気に入りです。強烈なスピード感は絶賛したいです。私も格闘シーンには一家言ある(フリをしてるただガタガタうるさいだけの)人間ですが、その私から見ても脱帽でした。

全局面において隙のない、揺るぎない大作にして傑作です。是非多くの人に読んでほしいですね。