浅ましくも美しい、ヒトの奥底が垣間見える物語。

この作品の中で、四つのお噺を読ませて頂きました。そのどれもが、現代の人々もきっと直面する憧憬、願望、情愛、苦難を、リアルに描いている。怪異として現れる最初の現象が、徐々に現実に落とし込まれていく錯覚に陥りました。やはりその中で描かれるのは、ヒトの浅ましさと、相反する美しさ。どの物語でも、現象の根底にあるのは純粋な思い、それを突きつけられる気分でした。
どのお噺も、素晴らしい読後感です。読み終わる度に、色んな感情を揺さぶられます。

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