たとえその命がいつか終わるものだとしても――

遺伝病によって早期の死が定められている恋人の運命を、なんとか変えようと奮闘する男の姿が明治・大正・昭和・平成と様々な時代背景のもと描かれています。当然複数世代にわたっての物語となるのですが、どれもこれもクライマックスへの盛り上げ方が上手くて胸アツです。

何がすごいって、各時代の話は、時代背景やその時の出来事やなども絡めてしっかり色が染め分けられていること。で、それなのに世代間でしっかり繋がりが存在していて、全体としてしっかり現代まで一本太い芯が通っていること。卓越した技量を感じます。読んでいて、その人そうなるんだ、とか、この設定そこに繋がるか、とか唸りっぱなしでした。

明治、大正あたりは純粋な歴史ミステリな感じですが、現代にかけてはパニックホラー色も強くなっているので、そういうのが好きな人にもオススメです。

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