日本近現代史×ミステリ×パニックホラー! それは呪いか、未知の病か。

妊娠した恋人の失踪から始まる、呪いと闘う運命の系譜。
陰織家の女はある年齢に達すると、妖怪のような姿となり、
正気を失って飲食もできず、苦しみ抜いて死んでしまう。
天保年間に端を発するその呪いは、どうすれば解けるのか。

歴史ミステリとしての面白さは他のレビューに見えるので、
私は敢えて「ホラーアクションゲーム好きにオススメ!」
と声を大にして言いたい。日本刀でゾンビを斬るやつだよ。
群がる暴徒も斬るよ。手近な道具や医療器具も駆使するよ。

(ホラーゲーム、私はやらないジャンルなんですが、
「面白いよ!」とすすめられてシナリオや攻略本を
 やまほど続々と読みまくることになった経験があり、
 作中の絵面とすごく似ていると感じた次第でした)

明治時代編は1900年。サムライの世の名残と文明開化と、
双方の価値観が混沌とする世情を背景に物語が興される。
呪われた女を愛した男は、呪いを解くために奔走する。
激動する20世紀史を辿りながら謎はやがて解かれていく。

時代ごとに世相を反映したストーリーと人物設定が見事。
>読んだ方それぞれに、「ここが面白い」って箇所が絶対あると思います。
と卯月さんのレビューに書かれているが、まさにそれだ。
藤田五郎@最強クソ爺に進化した斎藤一が素敵! とか。

私事で恐縮だが、高校時代に隠れキリシタン調査の為、
ひとり自転車で五島列島(地元)を巡ったことがある。
これが歴史学の道に進む大きな契機の一つだったので、
第8話の昭和中期編にはちょっと特別な思いをいだいた。

惜しむらくは字数だな、と思ってしまう。
30万字クラスで終わらせるのは勿体ない。
駆け足だと感じてしまう箇所もあるので、
もっとガッツリ書き込んでいいですよー!

20世紀日本の闇や薄暗い謎に惹かれるかたにオススメ。
明治時代編の応援コメントが分厚いことになっていて、
大正時代以降にも書き込む読者が現れないだろうかと、
ひそかに楽しみにしている。近現代史わからないけど。

君の屍をこえて
愛を子に伝えて
未来に希望をつなげ
いつか願いが叶う迄

おどろおどろしいタイトルは、本当は、願いの証だ。

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