第1章だけ読ませていただきました。ゴア描写がやけにリアルで、音の表現がないのに音が聞こえてくるような描写力。世界観に矛盾を感じることのない説得力。そして暗い霧を脳内再生させる表現力。
全てが私にはないので羨ましい限りです。
また、主人公の天然な性格の悪さもしっかりと世界観に馴染んでいていいですね。
主人公の性格の悪さが「こいつは性格が悪い」と書かれていなくてもしっかりと表現されている小説はなかなか無いと思います。
これから先、主人公をはじめこの世界の人間たちはどうなっていくのか。気になる限りです。
時間があるときにまた読んでみようと思います。
★世界に迫りくる脅威と言われて貴方は何を思い出すだろうか? 圧倒的な軍勢による侵略と言うのはある意味定番だろう。未知の病原体に寄るパンデミックもそうだし、人知を超えた未知なる生命体や存在による無慈悲な蹂躙・殺戮も想定される。それらには様々な形式があるだろう。
★登場人物たちの前に絶対的な絶望感で存在し、物語世界観の根っ子に根を下ろす形で圧倒的存在感を示す形式の脅威がある。それが『世界の終焉』である。どうあがいても、なにを立ち向かってもどうにもならない。主人公たちを含む人間たちはじわじわと生存圏を脅かされ為す術無く滅びゆくしか無い。そうした形式で物語が始まるスタイルを【世界終焉系】と呼ぶ
★代表的な物として、腐海が人類を脅かす〝ナウシカ〟巨人に人間が捕食される〝進撃の巨人〟遊星爆弾と放射能汚染で地上を奪われた〝宇宙戦艦ヤマト〟
★いずれもがスケールの大きい長編ドラマであり、いかに人間が矮小で非力であるかを突きつけながらも、それに対し必死に食らいつき戦いなおも敗北し、それでも再び立ち上がる姿に我々は強い共感を得る。なぜなら――『たとえ滅びると判っていても、人間は尊厳を持って生き残ることを望む生き物だからである』
★本作において人間たちは、魔物を生み出す〝黒い霧〟に襲われて滅亡の危機にある。そして、その黒い霧をもたらすのは50年周期で世界に迫る〝凶星・キャタズノアール〟――だがその因果関係はおろか、対策すらおぼつかない。ジリジリと黒い霧に生存領域を削られる状況にあるのだ。
★だがその黒い霧と凶星についての謎をめぐり、2つの国家勢力が抗争を繰り広げることとなる。それがアールダン王国とギア王国だ。権謀術数が交錯し、時には恐るべき剣技がしのぎをけずりあう。そして追い詰められた人間たちによる集団抗争劇が幕を開けるのである。
★単なる謎解き冒険譚に陥らない、確かなストーリー構成力が光る期待作だ。その『世界の終焉』の行く末のドラマを見守らずにはいられないである。