切なさと温もりに満ちた幼い恋模様。
- ★★★ Excellent!!!
今まで当たり前だった人間関係が、「当たり前」ではなかったことに気付かされる、心温まる作品。
双子なのに「妹」から「お兄ちゃん」と呼ばれる主人公。主人公は付き合っていた彼女に別れを切り出されるが、「妹」の親友は主人公を慕ってくれていた。そんな中、突然主人公を不幸が襲う。「妹」が突然死したのだ。しかも、主人公の目の前で、何もできずに――。そんな彼を支えたのは、「妹」の親友だった。小学生の彼女と高校受験を控えた主人公は、歳の差を感じさせない関係になり、その関係を深めていく。そこには、何故か死んだはずの「妹」の姿が見え隠れして……。
そんな中、主人公を再び復興が襲う。「飼い猫」をかばって彼女が車にひかれて重体になってしまうのだ。彼女が意識を失う前に残した謎の言葉。主人公は「妹」が死んだ時のことを思い出し、彼女の状態を受け入れられずにいた。しかしそこに彼女の「飼い猫」が現れ、主人公を導く。彼女が意識を失う寸前に残した言葉の意味を知る時、彼女の運命は主人公に預けられることになる。
彼女はあることを通して、目覚めるが大切な体の一部を失っていた。そして、霊感が強い彼女だけが見る真実――。彼女は大切な人と歩き出す。親友が残してくれた明るい未来へと。
当たり前すぎて、普段は気にも留めない人間関係。でもそれはきっと、奇跡的に出来上がった関係性なのだ。そんなガラスのように透き通っていて壊れやすい物を、まるで雨をすくい上げるように描き切った作品です。
是非、ご一読ください。