「青春」と、一言で片づけてはいけない。
そう思わせる苦く、切なく、それでいて時折見せる本物の「恋」という名前の文章がこの物語の描写は強く読者に引き付けてくれます。
「次は、どんな展開になるんだろうか」と、何か惹きつけるキャラクターの心情が細かく丁寧に描かれている作品です。
私がやはり印象的なのは、双子の妹栞奈さんがもし……ですかね。
初めての絶望からを迫られる決断のシーンはもう。
主人公の大和をよりよく見せているキャラが直人君ですね。
こーいうキャラがいてこそ、この作品がより輝くんだと感じました。
そして、最後に結乃ちゃんですかね。
彼女の強さとか、可愛さとかはクセになりますね。
大人の雰囲気なのですが、素直に年齢らしいところを見せるシーンは普段とのギャップで読者はいちころでしょうよ。
……って、色々書きすぎてもうなにがなんだか!?
作者さんご本人に取材して語りたいまであるこの作品、おススメです!!
今まで当たり前だった人間関係が、「当たり前」ではなかったことに気付かされる、心温まる作品。
双子なのに「妹」から「お兄ちゃん」と呼ばれる主人公。主人公は付き合っていた彼女に別れを切り出されるが、「妹」の親友は主人公を慕ってくれていた。そんな中、突然主人公を不幸が襲う。「妹」が突然死したのだ。しかも、主人公の目の前で、何もできずに――。そんな彼を支えたのは、「妹」の親友だった。小学生の彼女と高校受験を控えた主人公は、歳の差を感じさせない関係になり、その関係を深めていく。そこには、何故か死んだはずの「妹」の姿が見え隠れして……。
そんな中、主人公を再び復興が襲う。「飼い猫」をかばって彼女が車にひかれて重体になってしまうのだ。彼女が意識を失う前に残した謎の言葉。主人公は「妹」が死んだ時のことを思い出し、彼女の状態を受け入れられずにいた。しかしそこに彼女の「飼い猫」が現れ、主人公を導く。彼女が意識を失う寸前に残した言葉の意味を知る時、彼女の運命は主人公に預けられることになる。
彼女はあることを通して、目覚めるが大切な体の一部を失っていた。そして、霊感が強い彼女だけが見る真実――。彼女は大切な人と歩き出す。親友が残してくれた明るい未来へと。
当たり前すぎて、普段は気にも留めない人間関係。でもそれはきっと、奇跡的に出来上がった関係性なのだ。そんなガラスのように透き通っていて壊れやすい物を、まるで雨をすくい上げるように描き切った作品です。
是非、ご一読ください。
読み終わって強く思ったのは、もしも栞奈が……ということでした。
最初の「ロストラブレター」から、ぐいぐいと読ませるその語り口、展開の上手さは見事の一言で、先の展開が気になってどんどん読み進めてしましました!
登場人物達も魅力的かつ印象的に描かれていて、最後まで楽しく読ませて頂いた上で、敢えて言わせて頂くなら、ファンタジー要素に頼ることなく、物語を完結させることができたのではないかと思います。
作者の方にはキャラクターのやりとりや心情を描くだけでも面白いものを書くだけの筆力があると思いますので、ライトではない文芸にチャレンジしてみるというのも、一つの手ではないかと思います!(もちろん、ファンタジーにはファンタジーの良さがありますけどね!)
こうした感想を残せるのも、作品の完成度の高さがあってこそですし、私の意見が正しいとは限りません。
率直な感想を書かせて頂いたので、少しでも参考になれば幸いです!
最後に……結乃が小学生だということが、とても衝撃的でした!