理子ちゃんを好きになる。インテリ女子の哲学ミステリー

連載初期からずっと愛読している作品の1つです。

カフェでよく見かける今どきの大学院生っぽい女の子。でも、テーブルの上にカントやハイデガーの哲学書が置かれていたら、その子が気になりだしたりしませんか?

私が個人的に、この作品にずっと感じているのは、1つにはそういう魅力です。

とにかく主人公の東雲理子(しののめ・りこ)ちゃんが可愛い。

「作られた萌えキャラ」という可愛さではなく(それはそれで好きですが)、実際にいそうで、男からも女からも好かれるだろうな、というリアルな感じの可愛さです。

育ちが良さそうで、学識があり、少し天然。
その天然なところが、ストーリーに上手く活かされたりします。

たとえば、ドーナツショップで後輩の女の子とかわす、こんな会話。

「東雲さんは、ドーナツに穴があると思いますか?」

「……穴があるからドーナツなんじゃないのかな……もしドーナツに穴がなかったら……なんだろう、パン的な小麦粉のかたまり?」

この理子ちゃんの返しの秀逸さ。一見すると、天然同士の何気ない会話ですが、ここから「ドーナツのアンチノミー」という哲学的課題の分かりやすい解説になっていきます。

そんな感じで、カントを専門とする哲学科の女子大学院生・理子ちゃんの日常を描きつつ、さまざまな哲学的課題を少しずつ紹介していく、という趣旨の作品です。

哲学に興味がある人にはもちろん、ない人にもオススメです!

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