哲学研究室の午後

作者 草野なつめ

76

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★★★ Excellent!!!

連載初期からずっと愛読している作品の1つです。

カフェでよく見かける今どきの大学院生っぽい女の子。でも、テーブルの上にカントやハイデガーの哲学書が置かれていたら、その子が気になりだしたりしませんか?

私が個人的に、この作品にずっと感じているのは、1つにはそういう魅力です。

とにかく主人公の東雲理子(しののめ・りこ)ちゃんが可愛い。

「作られた萌えキャラ」という可愛さではなく(それはそれで好きですが)、実際にいそうで、男からも女からも好かれるだろうな、というリアルな感じの可愛さです。

育ちが良さそうで、学識があり、少し天然。
その天然なところが、ストーリーに上手く活かされたりします。

たとえば、ドーナツショップで後輩の女の子とかわす、こんな会話。

「東雲さんは、ドーナツに穴があると思いますか?」

「……穴があるからドーナツなんじゃないのかな……もしドーナツに穴がなかったら……なんだろう、パン的な小麦粉のかたまり?」

この理子ちゃんの返しの秀逸さ。一見すると、天然同士の何気ない会話ですが、ここから「ドーナツのアンチノミー」という哲学的課題の分かりやすい解説になっていきます。

そんな感じで、カントを専門とする哲学科の女子大学院生・理子ちゃんの日常を描きつつ、さまざまな哲学的課題を少しずつ紹介していく、という趣旨の作品です。

哲学に興味がある人にはもちろん、ない人にもオススメです!

★★★ Excellent!!!

女子院生である東雲理子の専門は「哲学」である。
論文のテーマに悩んだり、一般的な院生と変わらない生活を送る理子の元にちょっとした謎が舞い込む。


哲学。と言われると難しい印象があります。
聞いたことはあるけれど、具体的にどういうものなのかは分からない。
私自身、哲学に詳しいわけではなく難し印象を覚えていましたが、この作品はそんな人にも丁寧に分かりやすく哲学の考え方を教えてくれます。

何より日常にありそうな、ちょっとした謎が魅力的です。
普段であれば見落としてしまいそうな、本当に些細なことも考えてみると確かに謎には違いありません。
その謎が解けたときに、ああ、なるほど!と爽快な気分にさせてくれます。

主人公の理子を含めて、各話に出てくる登場人物たちもそれぞれ魅力的です。
各エピソードの文章量はそれほど多くないのにも関わらず、的確に個性を表現しながら、一つのお話としてまとめあげています。

スマートニュース×カクヨム「連載小説コンテスト」優秀賞という話を聞き、興味を持って読みましたが納得の完成度です。
ぜひ、この機会に読んでみてはいかがでしょうか。

★★★ Excellent!!!

哲学の話題をうまくミステリーに絡めていて、非常にうまいと思いました。しかし、謎自体はあっさりとしたものが多く、本格的な推理小説を期待すると肩透かしを食らうかもしれません。

雰囲気は『氷菓』に似たものを感じます。哲学的な要素が加わった『氷菓』というかんじです。

個人的に少し残念だったところは、知っている哲学の話題が多かったところですね。しかし、それは私が趣味で哲学書を読んだりしている人間だからであって、多くの読者にとっては新鮮な話題が多いと思います。おそらく、作者様は意図的に哲学に造詣のない人にも理解しやすく、興味を持ちやすい話題を選んだのでしょう(違っていたらすみません)。あまり突っ込んだ話をすると、とたんに小難しくなり、敷居が高くなりますしね。

いろいろと語りましたが、スマートニュース×カクヨム「連載小説コンテスト」優秀賞を受賞したのも、納得の出来でした。

全ての話が魅力的ですが、私が特に気に入ったエピソードは「霊が見た夢」です。とても優しくて温かい話だと思いました。


★★★ Excellent!!!

 哲学もミステリも「小難しい」「理屈臭い」と敬遠されがちですが、本当は、日常から見出せる、身近で、ごくありふれた、「みんな」のためのものなのですよね。天才学者や名探偵だって、十分条件でこそあれ必要条件ではないはず。

 この物語を通して日常を見返すと、よく見る世界がもっとワクワクできるもののような気がしてきます。


 期待すべくは、主人公・理子にとっての「哲学」でしょうか。登場人物たちが読者までも巻き込みながら、日常を「哲学」していくような物語を楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

哲学書などを読まなくなって久しく、最近、哲学という文字を書籍中で見たのは、とあるキャラの『哲学的意味がありますか?』という台詞くらいなものでした。

本作のライトミステリーの中に散見される哲学的な知識は、
懐かしくもあり、分かりやすくもあり、読んでいてすんなりと
入ってくるのが印象深かったです。

分かりやすく書いてある哲学を肴にライトミステリーを楽しむもよし、
ライトミステリーを読みつつ基礎的な哲学を知るもよしといった内容で、
自分的には結構楽しめた作品でした。


★★★ Excellent!!!

謎自体は些細なものの、学べる知識が哲学に限らず幅広い。
本作の素晴らしさを語る上で、知識欲を刺激される点を外すわけにはいきません。

哲学ミステリーと銘打たれているだけあって、哲学を駆使した謎解きがとても面白く描かれています。そして、この作品から学べるのは哲学のことだけではありません。たとえばフランス語であったり、数学であったりと、哲学を学ぶ上で必要になる周辺知識も網羅されているのです。
この点が非常に優れていて、まさに『L-エンタメ』と言うにふさわしい作品だと私は感じました。

私のような哲学初心者にも優しい解説文に加え、ストーリーとしても十分に楽しめる本作は、まさに優秀賞を受賞するにふさわしい秀作と言えるでしょう。

最後にもう一言だけ。
私は大道寺先生を強く推していきたいと思います。
だって、かっこいいんだもん!

★★★ Excellent!!!

暇な時間を見つけて、公開中の話は全部読破しました。
哲学というとひどく難解で、その学者は気難しい人というイメージを持っていましたが、哲学研究室の午後は一人一人のキャラが魅力的で、感情移入しやすかったです。何より理子ちゃんが可愛かったです。
哲学の話も分かりやすく、勉強になりました。

まだ連載中なのでこれからの話にも期待したいです。
頑張ってください!

★★★ Excellent!!!

本作の舞台は現代の日本です。
日本で暮らす私にとって、本来は真新しくもなんともないはずのその世界。しかしなぜ、本作に広がる世界は新鮮な世界としてこの目に映り込んで来るのでしょうか?
どうやらそれには、”哲学”が関係しているようです。普段私の見ている景色と、本作の登場人物の(そして作者の)持つ”哲学”の目を通して見えてくる景色とでは、全くの別世界のように感じられるのです。
本作の主人公である理子は ”哲学”というフィルターを通して日常を見渡し、そこに潜む謎を発見します。そして”理性”という武器でそれらの謎と格闘する(あるいは戯れる)彼女の姿は、私にはとても眩しく、そしてとても幸せな光景に映りました。

知を楽しみ、理を敬うこと。
それは”ミステリ”の基本姿勢であるとともに、”哲学”の基本姿勢でもあるのだと本作から学ばさせていただきました。(もしかしたら哲学に限らず、すべての学問でも同じなのかもしれません)

本作は日常ミステリですが、上記の通りその日常は私の日常とは少し違っています。読者である私はその心地よい違いに微笑み、時に驚き、そしてただひたすらに尊敬するばかりです。

静謐な興奮を与えてくれる素晴らしい世界に私を連れていってくださったことを、心から感謝しています。

★★★ Excellent!!!

 哲学という一見とっつきにくそうなテーマを扱っていますが、非常に上手く日常系ミステリに落とし込めていると思います。
 あまり馴染みのない(これは私に教養がないだけかもしれませんが……)哲学用語が数多く登場しますが、作者様の文章力の高さも相まって違和感なく読み進めていくことができました。

 専門的で雑学的にも感心できる哲学知識が広く出てくることもこの作品の大きな魅力ですが、キャラクター文芸としても優れていると感じます。
 過剰に個性的な登場人物は出てきませんが、現実世界にいそうな、そして現実世界にもしいるのならば是非知人、友人になりたいと思わせるようなキャラクターを描くのがとても上手。
 特に私は大道寺先生と友香ちゃんがお気に入りです。

★★ Very Good!!

哲学という一般的に馴染みのない学を持つ主人公が、日常に転がる小さな謎を解決していく……、まだ執筆中ですが概ねそのような内容でしょうか。
(この後、驚くほど劇的な展開に進む予定であればそれもそれで面白そうです)

「死人を冒頭に」がミステリーの常と言われますが、この作品はそういう意味で起伏のない作品だと感じました。それでも退屈せずに読めたのは、哲学を始めとする豊かな「知識」と「情報」が盛り込まれていたからだと思います。

初めはこの作品の雰囲気が気になって読み進めていましたが、雰囲気だけでは描けない筆者の見識の広さを感じ、レビューを書かせていただきました。
完結まで執筆頑張ってください!