教養ものとしてもキャラミスものとしても完成度が高い

 哲学という一見とっつきにくそうなテーマを扱っていますが、非常に上手く日常系ミステリに落とし込めていると思います。
 あまり馴染みのない(これは私に教養がないだけかもしれませんが……)哲学用語が数多く登場しますが、作者様の文章力の高さも相まって違和感なく読み進めていくことができました。

 専門的で雑学的にも感心できる哲学知識が広く出てくることもこの作品の大きな魅力ですが、キャラクター文芸としても優れていると感じます。
 過剰に個性的な登場人物は出てきませんが、現実世界にいそうな、そして現実世界にもしいるのならば是非知人、友人になりたいと思わせるようなキャラクターを描くのがとても上手。
 特に私は大道寺先生と友香ちゃんがお気に入りです。

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