日曜日の朝の枠でアニメ化してほしい! 魔法よたくさんのひとに届け

何もかもがヘンテコな異界を舞台に、記憶を失った少女・ペケと未熟な魔女・ニコのコンビが魔法を駆使して冒険をする物語です。
オススメしたいポイントがたくさんある作品です。
読みごたえは抜群でした!
一回行ったら帰ってこれない世界がここにあります。

まず、ペケとニコの友情がアツい!
記憶を失った「失敗作」の少女・ペケ、最初のうちは自分が何もできないと不安にかられるばかりでなかなか前に進めませんでしたが、ニコとのやり取りを通じてどんどん強くたくましくなっていきます。
一方のニコは、太陽のように明るく天真爛漫な少女で、ペケのために頑張る彼女は健気でいじらしく、また魔女であることの誇り(頻繁に口にする魔女ことわざ? 魔女あるある??が可愛いです)がとても頼もしい! 彼女もまた本当は不安を抱えていることも分かってきますが、今度はそんなニコをペケが救います。
二人はお互いを励まし合い、引っ張り合って、どんどん先へと進みます。
前半には危なっかしくて読んでいてはらはらするシーンもありましたが、途中から、この二人なら何とかなる! 絶対記憶も取り戻せるし、ラヴィにだって勝てる!と信じられるようになりました。
とにかく、二人だったら頑張れる!

次にオススメしたいのがメルヘンで可愛らしい世界観。
物理法則も生物の法則も無視した不思議な世界で、何もかもが魔法のようですが、説明されるとなんとなく「まあそういうものなのかな」と思えてしまいます。
それほど作り込まれているように感じます。
森は凶暴だし、月は気まぐれだし、海と空が入れ替わることもあるし、イルカが郵便物を届けてくれることもあるかもしれない。
ヘンテコだけど、この世界では当たり前のことで、「今度は何が出るんだろう!?」とドキドキわくわくしつつもなんとなく受け入れて違和感なく話を読み進めることができます。
私が好きなのは乾燥クラゲです。

そして、作中に登場する魔法使いたちの魔法の多様さ!
魔女、魔法少女、魔導士、と三種類の魔法使いが登場するのですが、どれもきちんと魔法の理論が組み上がっていて、読んでいて「へー面白い!」となるばかりでした。
ペケとニコの魔法は特にすごいです。
ひとつひとつの魔法は地味なんですけど、二人は成長していくにつれてそれぞれ自分の魔法の組み合わせ技を開発していきます。賢い!
どんなに地味な魔法でも、使い方次第では強大な敵に立ち向かえる。
この世界において魔法は心の力です。
二人はたびたび新しい魔法を獲得します。
心の成長とともに魔法も成長していく――胸が熱くなる展開です。

最後ペケの正体が判明した時はペケと一緒に動揺してしまいましたが、でも、大丈夫。ペケが何であってもニコはきっと一緒にいてくれる。
信じていられる。
信じる心がある限り少女たちは負けないのです。

二人はきっとずっと一緒に冒険の旅を続けられる!

さがしものが見つかって、本当によかったです。

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