言語の壁は厚い——ばかにならないほど。

ウェブ小説のテンプレとも言って良い異世界転生をナラティブディバイスとして使いながら、言語習得の現実的な苦労に主人公が立ち向かっていく——とだけ聞いてもこの作品の面白さはなかなかわからないだろう。

 リパライン語という架空言語が緻密に設定されていること、新たな言語と向き合った時に言語学者がどのようにその言語を習得しようとするのか、という知識、そして、どう考えても高度に学術的な作品であるにも関わらず「チートハーレム」という異世界転生のお約束を追求する主人公。

 全てが濃い。言語関連の知識も濃ければ、ジャンルへのメタな言及も濃い。

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