硬派にして繊細。美しき女工作員キッカが躍動するスパイ・アクション。

核爆発後の日本を舞台とした、スリリングなSF作品です。
それでいて、大切に育まれる愛の物語から幕が開き、『生体義肢』なる医療技術と謎のメモリーチップ、それを巡る陰謀などが繊細なタッチで描かれていきます。
SFといっても現代の延長線上にある世界観で理解もしやすく、安定した文章力でとても読み易い作品です。
特筆すべきは主人公キッカの色気ある美しさで、彼女の佇まいに滲む艶感は、煤に塗れた作品世界に映える彩りになっています。
SFは難しくてちょっと……という方にもオススメできるシリアスなエンタメ小説です。

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