深淵に触れてみたくなる。

不思議な読後感でした。
海、水、異界のイメージが文体にまでしみわたっているようで心地よい没入感があります。

さらにどこか懐かしさも感じました。

男が嫁というねじれた設定もユニークだし、異神の正体が開示されていくにつれ恐怖から哀感へとグラデーションで推移する印象も素晴らしい。

この国に残っている禁足地への想像も羽ばたかせてくれます。

もう少し長く読んでいたかったと思わせる作品です。