概要
だが、そんな事態とはまるで関係なく、少年は餓え、求め、星空へと手を伸ばした。
十年後、大陸の東部戦線。
その竜軍の幕僚の中に、異端の青年の将がいた。
彼は隻眼であり、人間だった。
かつて星天へと手を伸ばした少年は、竜たちの副官としてその辣腕をふるっていく。
竜のために、人のために。
そして自身の野望のために。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!青年よ、冷たく熱い野心で乱世を掌握せよ
竜に滅ぼされた国で、さらに人からも棄てられた隻眼の少年は、竜の姫君に拾われてかの国で身を立てていく。
こういった戦乱の世の群像劇は、ともすれば壮大に冗長になるものだけれど、星舟を中心としたエピソードの切り取り方が見事で、展開は序盤からとてもスピーディ。映画を観ているようにぐんぐん引き込まれます。主人公は冷徹な野心と、ヒトであるハンディキャップをもつ星舟。のきなみそろった群雄たちのなかにあって、最初は卑小さが目立つこの青年の、一筋縄ではいかない側面がしだいに魅力的に思えてくる。予想を裏切って期待を裏切らない展開に、かいまみえるドライなユーモアもたまらなくかっこいい。
作者様コメントで「漏斗…続きを読む - ★★★ Excellent!!!竜と人、人と人、竜と竜――竜あらざる竜の副官たる青年を巡る関係の物語
竜により人の国が滅ぼされ、世は竜に支配されていた。圧倒的な強さを持つ竜に、しかし人は叛旗を翻す。この物語の主人公夏山星舟は、竜へ叛旗を翻した人の宰相――ではない。彼は人でありながら、竜あらざる竜軍の将だった。
竜軍の異端の将。もちろん有能であるから登用されたわけだが、誇り高い(言い換えれば傲慢な)竜の侮蔑の受皿であり、同時に嫉妬の矢の的である。彼はくやしさをばねにして邁進し、一部の竜とは真の友誼を結び、汗と涙と感情を迸らせ一丸となって戦うだろうか。否。
夏山星舟は冷笑的(シニカル)であり、純粋な青年である。歪つでありながら、真っ直ぐ。リアリストでありながら夢を見る。一見相反するこれらの性質…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世を統べるはヒトか、竜か。戦乱の世に、貪欲な隻眼が閃く。
瀬戸内弁慶先生が送る、和風ファンタジー戦記。
ヒトが竜との戦に敗れ、その領地の多くを征服された世界。ヒトは劣勢の中でなお、己の誇りを懸けて抵抗を続けていた。
その一方、竜の陣営に身を置くただ1人のヒトである隻眼の青年は、天性の知略を武器に寄せ集めの部隊で武勲を上げ続ける。同じヒトが相手であろうと、敵であるなら容赦はない。
権威、武力、財力。それら全てを手中に収め、星の彼方に等しき高みへ駆け上がるため。自分を蔑む内部の敵も、何もかも利用し尽くし、彼は己の道を突き進む。
その果てにある未来は、栄光か、死か。是非、あなたの目で確かめて欲しい。