青年よ、冷たく熱い野心で乱世を掌握せよ

竜に滅ぼされた国で、さらに人からも棄てられた隻眼の少年は、竜の姫君に拾われてかの国で身を立てていく。

こういった戦乱の世の群像劇は、ともすれば壮大に冗長になるものだけれど、星舟を中心としたエピソードの切り取り方が見事で、展開は序盤からとてもスピーディ。映画を観ているようにぐんぐん引き込まれます。主人公は冷徹な野心と、ヒトであるハンディキャップをもつ星舟。のきなみそろった群雄たちのなかにあって、最初は卑小さが目立つこの青年の、一筋縄ではいかない側面がしだいに魅力的に思えてくる。予想を裏切って期待を裏切らない展開に、かいまみえるドライなユーモアもたまらなくかっこいい。

作者様コメントで「漏斗型パワーバランス」と言われる女傑ハーレムは、一瞬も気を緩められなさそう。ファンのみなさまと続きを楽しみに、貞淑に待ちたいと思います。



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