コンテスト受賞作ということでワクワクしながら拝読させていただいたところ、さすがは受賞作だけあって、この作品でしか体験できない恋愛の物語になっていました。
タイトルにある華道と書道が心理描写にうまく溶け込んでいて、登場人物たちが恋愛において自分はどうしたいのか、どのように成長したいのかが、そのまま華道と書道に結びついています。
単純に華道、書道をやりながら、別で恋愛の要素が含まれているのとは違っていて、華道、書道=恋愛というところが、とにかくブレずに最後まで丁寧に描かれていて、上手いなあって思いました。
面白い、そしてそれ以上に美しい作品でした。奥深い!
深い。この一言につきます。
コメントでも残したのですが、タイトルから書道ボーイ&華道ガールが互いに感化され創作する青春ラブストーリーと勘違いしてました。
凄く読みごたえのある物語です。
そのギャップたるや衝撃的。読み終えてレビューを書かさせて頂いてますが、読みごたえは勿論のこと、色々と考えさせられる作品でした。
文章の表現力が奥深く、とても好きでした。それに、創作過程の繊細な描写。凄い、と思いました。
『花』の文字に茎が通った。
生けられた花の向き。
創作作品が表現する登場人物の心理描写。『僕キミ』企画の中で他と毛色の違う愛。濃厚で考えさせられる作品でした。とても面白かったです。読ませて頂きありがとうございました(>_<)
『恋』は「したごころ」で『愛』は「まごころ」
そんなことも言われます。
三部構成で高校生3人ひとりずつの視点から物語は進みます。
この3人が華道ガール、茶道ガール、書道ボーイ。
この三角関係のなりゆきは?
日本伝統の文化「道」をベースに恋とは?愛とは?との普遍の問いの果たして答えは?
「キミと僕との15センチ」コンテスト参加作品です。
15センチの使い方もジャパネスク。
この字数でここまで深く考えさせられることができるなんて感嘆のため息の漏れる作品です。
華道、茶道、書道に詳しくなくても大丈夫。読みやすい文章で日本文化に浸れます。
ぜひ読んでみてください。
優れた感性を持つ人間、とりわけ芸術家などにおいては、しばしば物事の捉え方が一般のそれとは異なることがあるようです。
本作の登場人物も、書・華・茶といったそれぞれの道に沿った自我(エゴ)を持っており、それはお互いの理解を通常よりも困難なものへとしてしまいます。
本作はそれらの伝統文化を高い筆力により鮮やかに描きながら、それぞれの感情を混ぜ合わせて美しい印象を作品全体に与えています。
涼介、彩華、花鈴の3人がどのような視点で自分を高めるためにすべき事を見つけ出すのかが本作の見所ではないでしょうか。
伝統芸能とエゴが生み出す少し妖艶な雰囲気に大満足させていただきました。