火の神エトナが人類の心を試しているように思える不思議な物語☆

この作品の舞台となっているシチリア島には、世界でも有数の活火山として知られているエトナ火山がある。作中のキーアイテムとして出てくるルビーの指輪には、この火山の神が遣わした使者のようにも見えた。

ルビーの指輪を求めて争う者たちの心の中。欲望まみれかと思いきや、ふとした時に見せる優しさや孤独から解放されたい気持ちも描かれていて、読んでいて不思議と心地良い気分になってくる。特に、ラウロと呼ばれる主人公は、その時代の人間臭さというか、狡賢さと弱さが上手く出ていて、話を追うごとに味方したい気持ちになってしまう。

心地良いタイミングで完結となっているが、エトナの神がルビーの指輪を再び遣わして、新たに人類へ与える試練なんかも期待したくなる作品です☆

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