甘酸っぱくてちょっと切なくて、等身大を切り取ったひと夏の逃避行

自分のことが好きになれないまま、なんとなく周りに合わせるように生きてきた主人公の美奈。
何を求めるわけでもなく、ただハガキサイズに切り取られた空の写真の場所を求めて、連絡を取ったかつてのクラスメイト。

隔てた二人を繋ぐ夏の空の広がる景色の描写や、等身大の飾らない少女の繊細な内面を描く筆致の見事さ。そして、ほろりと甘酸っぱい読後感。

つい、夏空を求めて日常を飛び出したくなるような素敵な作品です。

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