巧みな心理描写で魅せる、甘すぎないガールズラブストーリー

王道な青春百合モノという感じなのですが、とにかくストーリーの良さと、巧みな心理描写、そして構成の良さが抜きん出ています。
キャラクターも、主人公の周りの子たちはコメディ要素が強めなのに、ストーリーの中では、いきいきとしていて、ときに感動を与えてくれて、どのキャラクターも等しく愛おしいのです。

主人公の未来が、心の奥底に抱える黒いモヤモヤとした感情が、ストーリーが進むに連れて、その色合いに鮮やかさが加わっていく様子や、未来が攻略対象に選んだ、堅物というのがピッタリな風紀委員長の玲華の、防御力マシマシな心のシールドが少しずつ剥がれ落ちていく展開に、ページを捲る手が止まらなくなること請け合いです。

過度な恋愛描写に頼ることなく、主人公の心の機微を描き、魅力的なストーリーに仕上げる作者様の筆力の高さは、百合モノを読んだことがない初心者でも、読みやすくておすすめです。

読み終わったあと、二人の事を応援したくなる。
そんな素敵な作品です。

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