哀しくも美しい世界のお話

SFらしさの溢れる重厚かつスケールの大きな世界観。スタイリッシュで雰囲気がありつつも、読者を置いてけぼりにしない読みやすい文章。どんどん謎が明かされていくよく練られたストーリー展開。
主要キャラの個性も豊かで、健気で可愛い無口ヒロインのツゥオちゃん、普段は淡々として見えるけれど、頑固さや時折見せる熱さがカッコイイゲオルグ、ヘレネーも魅力的。どうしても他2人がローテンションになりがちなのでムードメーカーとして話を引っ張ってくれます。
ほのぼのするシーンもあるのですが、それだけに物語には常に儚さや哀しみがつきまとっています。
失いたくない記憶。失った記憶。生き延びて欲しい人。苛烈な戦い、無情なる真実。旅の終着点でそれぞれが見たものは――
哀しくも美しい世界。読み終わった後に心の中にじんわりと一滴、何かが残るような、そんな素敵な作品です。

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