何もかもが刻印を押すかのように突きつけてくる。

人が人を助けるために、身体の一部を捧げる。
家族ならば、愛する人のためならば、きっとそうしたいと願うであろう。

しかし、生まれた時からそのために育てられてきたとしたら。
今までにも幾つもの作品がこのテーマを扱ってきた。
新井素子の『通りすがりのレイディ』
カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』

そこに感情は必要か、感情を持たせることで、ただの恐怖心を煽るだけではないか。
人道的には? クローンならいいのか? 奪う側、奪われる側。

この作品にも、深いジレンマを含んだ葛藤があちこちに散りばめられている。
殊に、主人公雪白ホムラの苦悩となる「EP10-04」
人はみな思う。もし相手の立場だったらどうするかと。
しかし、それは本当にそうならなければ、わからないのだと。

独特のルビの付け方、時に詩のような言葉選び。圧倒的で、唯一無二の世界。

アリスとアゲハは、DUMにおける草原の一対の蝶のようであり、私には哀しみではなく希望に映った。
この子達をどうか苦しめないで。
無邪気にドレスをスケッチするアゲハの横で、自分を持て余すアリスを抱きしめたかった。

きっと私はまだ理解できてない、と想う。
でも、とても惹かれて、ここに立っている。

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