第12話 雪夜の制服と学校
「氷道世翔夜か、雪夜の双子の弟みたいなんだけど、
あいつもよく知らないらしいしな」
舞夢は静かにため息をついた。
なぜこんなに私が世翔夜にこだわるのか、それは自分でも正直わからなかった。
なんとなく、ひっかかるのだ。世翔夜、いや氷道という名前に。
次の日、学校は賑やかで少し騒がしかった。
まあ、いつものことなんだけどね。
「あっ、舞夢様だ!相変わらず美人でかっこいいなあ。」
「うんうん。それに樹里様もいる!今日も髪がサラサラで可愛いね。」
この反応も今はもう慣れっこだ。
三大名門ともなると学校でも注目の的だしね。最初の方は嫌だったんだけど
何回言っても止まないからこれはもう楽しむぞって!
「あれ?誰か後ろにいる。」
「初めて見る顔だね。」
「でも、特待生の制服だししかもラインが青だよ」
「えー!どこの家の子だろう」
そんな会話が耳に入り、後ろを振り返ってみると制服姿の雪やがいた。
特待生用の制服にラインが青色。氷道家ってどんな家だよって思う。
そう、雪夜はなぜか私たちのいる特待生クラスなのだ。
この学校は一般クラスと特待生クラスに分けられる。
特待生クラスは主に私たち三大名門や、有名な家の子供が入る。
そして、特待生の中でも二つに分かれていて、制服の袖、ボタン、スカート(男子はズボン)の裾のラインが通常の特待生はシルバーのところ、すごい名家はその家のイメージカラーが適用される。それを私ですら聞いたことのなかった氷道の名前の奴が身につけていたのだ。
ちなみに私は赤で樹里は緑。
「えっ、雪夜なんでライン青なのよ」
「なんでって、届いたやつがこうだったから理由なんて知るかよ」
そうすんなり返されてしまった。
言い返そうとしたら樹里に止められた。
「舞夢ちゃん、落ちつて。私もびっくりしてるkrど今はみんなの迷惑になるからクラスで聞こう。ね?」
「うっ。わかった。」
私は渋々頷いた。
昔から樹里には弱い。なぜか樹里に言われると断れないのだ。
いつもは私の方が樹里にあれこれ言ってるけどね。
そして私たちは去ったと教室に行った。
雪やに抜かされたくないので樹里を引っ張ってダッシュした。
「ついたー」
「はぁはぁ、ちょっ舞夢...ちゃん。早すぎるよ」
樹里はまだ息が整っていないようだ。別にあれくらい普通じゃないかな。
「おい、あれは普通じゃないぞ」
後ろからいきなり声がした。振り向かないでもわかる。あんの憎たらしい声。
「はいはいそうですか。普通じゃありません。でも私の方があなたより早いんですっよ」
少し挑発的に行ってみた。
「......」
何も返してこない。
やった!勝ったよ。あーすっきりした。
にしても見事に反応がありませんね。
もしかして私の行ったことに怖気付いたとか?
もしそうだったら最高!
後ろを振り返るとそこには雪夜はいなかった。
いるのはおどおどしている樹里だけだ。
「樹里、雪夜はどこ行ったの」
「雪夜くんは『あれは普通じゃないぞ』って言ってからすぐに立ち去りました」
はああ!?ってことは私一人でえらそーにしてるただの変人じゃん。
何してくれんのよあいつ。
後で仕返ししてやる。
私はその後雪夜に休み時間の10分間だけ猫になる魔法をかけてやった。
意外にも猫雪夜は可愛かった。ふさふさの毛で、青い瞳、少し水色の入った毛は綺麗でずっと撫でていた。
でも逃げられるからどちらかというと追いかけて捕まえて撫でて、逃げられて追いかけ捕まえて、の繰り返しだった。
それが結構癖になってしまい、イラついたか今度からあいつを猫にしてやると決めた。
あっ、猫雪夜だけどそれに関しては樹里も気に入ったらしく結構協力的で
起きかけるのも2、3秒で捕まえられたからまた次もお願いしよーと。
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