第8話 消えた樹里と幻覚
「…いない。樹里が…いない。」
私はこの広い空間の中今にも消え入りそうな声で呟いた。
さっきまでいたはずの樹里が消えた。なんでだ!?ずっと樹里は私の後ろにいたはずなのに。そんなことよりまずは樹里を助けないと。でもどうやって…。
一人自問自答を繰り返す中ひとつ不意に思い浮かんだ。
『召喚』
世界中の中にいるスカルト契約者がランダムで強制的に召喚される。
誰が来るかはわからないけれど、いい人が来れば助かる可能性が出てくる。
「ライア!」
そう叫んだ。青い光の中に包まれて出てきたその人は、青い瞳に青い髪。
まさしく転校生、氷道雪夜だった。
「はあ!?なんであんたが出てくんのよ」
ただでさえ忙しくて大変な時に変な奴を召喚してしまった。
「交換、交換!こんな奴いてもいなくても同じなんだから!」
そう叫んだらいきなり肩をつかまれた。
「おい、お前よくそんなこと本人がいる前で言えるな。どんな神経してんだよ」
「はいはい、そんなことより交換交換!」
なんかごちゃごちゃ言ってるコイツはほっといてどうにかして美香さんに伝えられないかと叫んでみた。
だが一向に返事は来ない。
「美香さーん!みーかーさーん」
『すみませんが1ヶ月前から召喚は1回までとなってます』
「なんだとおおおおおおおおおお!!!???」
思いっきり叫んだ後精一杯の嫌な顔で睨んだ。
「なんだ?交換できなくて悔しいか?」
そう笑いをこらえてニヤニヤした顔で行ってきた。
あああ!イライラする!
「しょうがないから付いてきて。くれぐれも邪魔しないでよね」
「はいはーい」
そい行った後、進み始めた私は違和感を感じた。いくら一面同じ白と言っても特徴が所々ある。しかしどんだけ前を進んでも景色が変わらないのだ。
「おい!」
いきなり叫ばれて振り返ると目の前からは物が飛んできた。
やばい!そう思った瞬間
「リーエン・マシュ!」
目を開けるとバリアが張られていた。
しかしこのバリアは青色だった。一般の魔法一族は緑色。青色を使えるのは一部の実力のある魔法一族だけだった。
「なんでこの魔法使えるの!?」
「ああ、これか、なんでだろうな。もともとこれだったぞ」
「そうじゃなくてあなたの家どこの魔法一族。一般の一族には使えないはずっ」
「そうだな、家は氷道家だ。そしてなぜかといったがそれは‥‥‥‥」
一番大切なところでバリン!と音を立ててバリアが壊れた。
「時間切か」
「そうだね。って理由は?さっき言いかけたでしょ」
「ああ、やっぱり言う気なくなった。」
「なんで」
「気まぐれ」
そう素っ気無く答えられた。
その態度にイライラしていると、魔法陣が現れそこから魔物がわんさか出てきた。
「何あれ今出てきたっていうの」
あっけにとられていると魔物たちは陸上選手のようにかけてきた。
しかもご丁寧にクラウチングスタートでまるで誰かが『よーい、どん!』
って指示してるみたいだ。
「うわぁ、なんだあれ」
呆れていると氷道が、
「まあ、やつければいいんだろ」
そう言って魔法を唱え始めた。
「シサ・カーラ・シュウ」
水魔法だ。中級魔法で相手を絡みこんで吸収する。
吸収したやつの体力で自分の体力も回復できる一石二鳥の魔法だ。
以上解説舞夢でした。
「そこ、解説はいいから手伝え」
「はーい」
「フラン・タイ・イン・タイン・フーラ」
ブワッと魔物たちが燃え上がる。めんどくさいからやっぱ一発でやっちゃうほうがいいよね。
「おいおい、魔力持つのか」
「大丈夫!魔力は結構あるから」
そう言って私たちは一言もしゃべらずに進み続けた。でも景色は変わらない。
「景色が変わんないね」
「そうだな。多分これは幻覚だろう。そして俺は幻覚の中に召喚されたってわけだ」
「じゃあ早く言ってよ」
そう言ってすぐに幻覚を解く魔法を使った。
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