第6話 「尾行するぞー!」「おい!!」
ピピピピピ
うるさい?目覚ましがなった。
「ああああ、うるさい!」
バン! と音を立てて目覚まし時計を止めた。(ぶっ叩いた)
あたり一面緑の草原で魔法を出しまくる。誰にも迷惑がかからない夢の中で遊びまわっていたらいきなりあの音だ。ぶっ叩きたくもなるだろう
今日は何日だろう?学校は、、。なんてことを考えながらボーとしていた。
フワンフワンと頭に出てきた顔は、樹里と雪夜くんだった。そこまで思い出すと、一気に思考回路がフル回転し、一瞬で準備が終わった。(魔法の力だぜ!)
そして移動魔法で学校に行った。
「樹里、樹里!昨日考えたんだけど、いい服見つかったよ。樹里も一緒に変装しようよ」
実は昨日私の分だけでなく、樹里の分まで用意してくれたのだ。
「えっ、舞夢が私に服を。」
「けどごめん私はちょっと遠慮しとく」
「いえ、鈴ちゃんが選びました」
「着ます」
「今樹里さぁ、選んだ人で決めたよね」
「うん。だって舞夢が選びそうな服って大体、全身黒ずくめとか夏なのに真冬の暑い格好とかろくなのないんだもん」
「あっ、そうそう。今回もそんなの考えてたけど鈴ちゃんに却下された」
「だろうね」
「ひどいよ〜」
もう樹里ったら私のファッションセンスをなんだと思っているわけ!?
こんな素晴らしい変装はないんだぞ!
でも、なんでか樹里や鈴ちゃんおばあちゃんたちにまでやめなさいって言われるんだよね。 なんでだろ?まあ気にしない気にしない。
「ってことで、」
「どんなことですか?」
と、樹里からツッコミが入った。
「ああ、こっちの話だから気にしないで。」
「では気を取り直して、尾行するぞー!」
「おい、話してるところ悪いが、本人のいる前で尾行するとかなんとか話すのやめたほうがいいぞ」
「なぬ、お主どれだけ耳がいいのだ!?」
「舞夢、あなたすごくおおきいこえでいってたよ」
「まじっすか」
「ああ」
「てめーには聞いとらんは」
「はいはい」
「それで舞夢、本人にバレたけどどうするの?」
「あー!そうだった。よくもきいてくれたな!」
「・・・」
氷道は何も言わずにそっぽを向いた。
「ちくしょー!!またあいつ無視しやがった!」
「舞夢落ち着いて」
「もうこうなったら意地だ!使える権力全て使ってやる!!」
「ちょっ、舞夢それはいくらなんでも…」
「やるって言ったらやるの!」
あんにゃろ絶対後悔させてやる。広い教室の中どまんなかでこうけついしたのであった。樹里はこうなった舞夢を止めることは不可能なこと走っているのでもう口出ししなかった。
「あっもしもし、舞夢です。はい、元気です。そちらもげんきそうで。あの、ちょっとたのみたいことがあるんですけど、……あっはいそうです。よろしくお願いします」
電話が終わると次は先生のところに行った。
「せんせっゲホゲホ、ちょっと今日体調悪いので早退します。家にだれもいないので、草道さんも一緒にいいですか?」
「はい、いいですよ。お大事に」
「失礼しました」
だだだだっ細長い廊下を走り抜け、樹里を引きずりながら外に出た。
「ほんと舞夢はそごいね。先生まで騙すなんて」
「何のことですか?」
「私は一切嘘なんてついてませんよ。だって昨日一生懸命考えた作戦を見抜かれてしまって心の風邪が悪化しました」
「もうそういうことじゃないでしょ」
「でも樹里だって、暗示魔法使って私と樹里が簡単に早退できるようにしたでしょ」
「あっバレてましたか」
「当たり前」
そんなことを話しながら私は樹里を連れてある場所に行った。
「舞夢、どこに行くつもりなの??」
「着いてからのお楽しみ」
どこに行くのか知りたがる樹里をほっといてどんどん進む。
(急がないと叱られる)
「着いたよ」
「わあ」
そこはなんというかビルというかお城というかなんと表現したらいいかよくわからない場所だった。真っ白な壁に透明な四角い小さな窓、そして水色の平らな屋根。水色のドアだった。
「いらっしゃいませ舞夢様。お待ちしておりました。」
「あっ、美香さん、今日は急な申し出にもかかわらずお受けしていただきありがとうございます。」
「いえ、これが私たちの仕事ですから」
そういった美香さんは微笑んだ。彼女は誰が見ても美人だと言うだろう。真っ黒な瞳に長い黒髪、整った顔立ちの美人さんだ。
「あの、舞夢これはどんな状況なの」
どうやら話についていけてないらしい樹里が不安げな顔尾をして訪ねてきた。
「あっ、樹里はあったことなかったっけ?この人は美香さん、ここの一番すごいっていうか偉い人だよ」
「いや、そういう話じゃなくてここはどこで何をする所なの?
記憶喪失の人にもわかるように説明して」
「樹里まさかの記憶喪失!?!?」
「いや、違うけどこの場所については記憶喪失の人同然なの!」
「ああそういう意味か、一瞬マジで焦ったよ」
「で、説明してもらえますか」
「うん。さっき言ったようにこの人は美香さん。私が話すより美香さんに教えてもらった方がわかりやすいと思うから美香さんに聞いて。
美香さん、樹里に教えてやってください」
「はい、わかりました。
まずここは表ではユーニクス城と呼ばれておりますが、実は裏では情報屋なんです。お金さえあれば危険なことでもなんでもお受けいたします。
そして先程ご紹介がありましたように私はここのぬしの美香です。何かご質問がおありでしたら後ほどお聞きしますのでどうぞお気軽にお聞きください。」
「ありがとうございます」
「いえいえ、舞夢様からの指示ですので」
「あっそうですか。…はい。」
そう言われた樹里は何となく戸惑っていた。
樹里への説明が終わった後、私たちは城の中に入っていった。
廊下は細くて長く、永遠に続いているようだった。
「…り、樹里!ちょっと聞いてるの?この廊下意識保ってないと英英んに出られなくなるよ」
「えっそうだったの!?」
そう、この廊下は魔法によって意識が飛びやすくなっている。そして意識が飛んだら最後、現実には戻れなくなってしまう恐ろしい廊下だった。私には当たり前すぎて忘れていたが、樹里は初めてだったのだ。知るはずがない。
「ごめんね言い忘れてたの」
私がそう言うと樹里は少し安心したように、『いいよ』と言ってくれた。
「着きましたよ」
美香さんがそういった。
さあ最高峰の戦いの始まりだ。
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