貴方だけが呼んでくれた名前が木霊する。

タイトルと4つの副題を眺めただけで、ふとため息。
きっと、今日子色の世界に連れて行ってくれる予感でいっぱいになる。

大正から昭和に移り行く、感受性が今より豊かに思える時代。
少し年の離れた兄妹の奥ゆかしさに、歯がゆささえも脆く消える。

お花見が流れたことを悲しむ妹を優しく諭し、雨を擁護する兄。
庭の花々からもらった色水の遊び。その色を想って永遠を重ねる。

硝子のように儚げな兄の佇まい。
たった一度の抱擁に似た距離。心を隠したまま空の人。
巡る時代に、いつまでも想いを馳せて。

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