儚い想いを彩る花の庭

昭和初期の時代を彷彿とさせる表現で綴られる、古典的で風雅な物語。
彩りとともに移り変わる季節と年月、優雅な風景描写と雨も溜め息が出るほど美しいのですが、何よりも、兄と妹の奥ゆかしさが、その頃の日本人の持つ心の美しさであり、現代からすると新鮮で眩しく感じられるのです。

人の命の儚い時代だったからこそ、互いの想いが、特に第3章の、会話のない短い文章の一つ一つの中に込められ、想像を掻き立てられました。

登場する花の画像を鑑賞しながら読み返したい、非常に印象に残る作品です。
是非、ご一読を。

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