第9話 宝箱

ガサガサ

ベッドの横の衣装棚から地図を取り出す義明。

国土地理院の地図を貼合わせた唐津湾地図を、ひとみに見せる


義明の手書きのメモが多数。

『ガレオン船 大黒屋大黒丸 船首 水深5M 小判5000両』 

『早丸 水深3M 小判100枚 陶器多数』

『皐月丸 水深6M 彩色陶器多数』


湾内北東から南西に続く記しの帯


ひとみの怪訝な顔、そして、死人のような顔色になる

膝の上の分厚い本のページを開き見比べる

『唐津市市史 別冊 唐津海運組合と海運史』


『三毛猫屋がロイズ保険組合に保険金請求の為に提出した 唐津湾海難事故之図』


「何故分かったの」

震える声で聴く。


義明 曰わく

「夢に出てきた死者の魂さんと、仲良しになって、世間話してたら教えてくた。

面白いのは、海底に地割れが有って、そこに海流の関係で、沈没船が集まるんだって」


ひとみは、思った

『凄い、唐津湾って宝箱やん』

『しかし、義明って何者。ふつう、魂さんと仲良くならないよなぁ。』

『付き合い、考えないとなぁ?』

そんな、ふつうの考えを巡らすと、



静まり返った病室。



悪魔が囁くように

「引き揚げよ。」




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三毛猫丸の奇跡 1817ー2017 三毛猫屋 @mikenekoya

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