第三者としての「読む楽しさ」

この作品における見どころは、なんといっても「魔法理論」である。
基礎がしっかりと組まれているので、一見複雑そうに見えても話を通してみれば、実にシンプルな明快さを貫いている。

その理論を軸にした、登場人物の行動は、それぞれの個性もあるが結構「直感的」である。
何をしたい、どう思う、などのそれぞれの感情がそれぞれ交錯して物語のもう一つの軸を形成している。
複数人が関わり、意見や見解などが食い違う場面があっても、読みにくくならない理由がそこにあると思う。

この話における魔法理論のあり方は、我々第三者であるからこそ楽しめるものだと考える。
例えるなら、学校の授業で教科書ではなく資料とか巻末付録を夢中になって読み漁った時のような、そんな楽しさがある。

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