美しくも歪んだ愛憎の物語

読み始め、兄と妹の歪んだ近親愛物かと思っていたのですが、そうではない。
兄と妹、母と子、夫と妻、義理の兄弟…それぞれが抱える過去や互いへの想い等、何処か歪みや灰暗さを孕んだその関係が精緻な文章表現で描かれています。
決して明るい内容ではありません。けれど、咲き乱れる花苑や深い山々の緑、生い茂る竹林の様など描かれる情景が目に浮かぶようで、その美しい世界で絡み合う家族の愛憎にぞわりと背筋が震える。そういう作品だと思います。

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