心というものが煌めく珠なれば

作者 紺藤 香純

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★★★ Excellent!!!

ファンタジー要素を含む時代ものでありながら、しっとりと落ち着いた読み心地の、大人向けの掌編です。

この物語の世界では、誰もが自分だけの「心珠」というものを持っています。
それは目に見えるものであり、一人ひとりの心珠が異なる色彩や輝きをもつものなのですが、主人公の縫の心珠は「汚い色」だと罵られます。
そんな縫の心珠を綺麗だと言ってくれるのがかつて縫の家の下宿生であった安利です。
愛し合う二人の暮らしぶりは、傍から見れば仲睦まじい夫婦そのものなのですが、二人のそれは “真似事” であり……。

触れられない心珠。
契りを交わせない夫婦。
真似事であっても、そこには確かに愛が存在しています。
心を寄せ合いながら静かに日々を送る二人には、これから先もずっと幸せでいてほしいと願わずにはいられません。

★★★ Excellent!!!

“心珠”と呼ばれる個々人が持つ珠を研究する女性医師の縫(ぬい)。
彼女を愛し慈しむ、同じく医師の安利。

互いに想いあい、夫婦のように暮らす二人だが、二人は夫婦ではなく――。

縫の医師としての仕事ぶり、安利の「妻」としての暮らしぶりが丁寧な筆致で描かれた短編です。

描写がとても綺麗で、料理の描写にお腹が鳴りそうになったり、縫と安利のやりとりに(*ノωノ)となったり……。

ぜひ、読んで味わっていただきたい一作です!

続編も予定されているとのことで、今から楽しみで仕方がありません!( *´艸`)

★★★ Excellent!!!

流れるような文章や場面運びに、少しのストレスもなく、一気に全話読んでしまいました。

時代も国も、そして心珠の美醜にも関係なく、縫と安利の間にある愛情は慎ましく崇高であり、その内容は普遍的価値がある。
二人を取り巻く人間や制度が厳しいものであったとしても、それらは少しの雑音であり、確かに刻んでいく日常に多くの問題とはならない。

この決然とした生き方を選んだ二人の医師がとても眩しく感じられました。
心珠という架空の存在により人の価値を測る風習すら、彼らの絆を強める要素に思えるほど。

素敵なお話をありがとうございました!ヽ(^。^)ノ