そのレシピは、あるいは手紙のようなもので

 かつてのバンドマンが共に暮らすのは、亡き姉が遺した一人娘。年月を経れば、彼女も成長し、主人公はすっかりコミュニケーションのやり方を忘れてしまっていた――――これは、そんなある日のお話。

 男の不器用な想いを包み込むのは、ほろりと苦いピーマン。そして、微かに感じる涙のしょっぱさ。
 愛ある料理には、きっと言葉だけでは伝えきれない想いが宿るのでしょう。それは時に心を映す鏡であり、手間暇かけて綴った手紙のようなものでもあり――――

 今夜の夕飯は誰に食べてもらおうか。
 一度でもそう考えたことがあるなら、お勧めの一作です。きっと、その意味を思い出せるでしょうから。

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