本作、最初の一話から重厚で難解な専門用語の連続です。
全く手加減なし。銃弾の雨を降らされてるレベルの圧倒的密度。
これをいきなり見て面食らわない人は少ない気がします。
あまりにも密度が濃すぎて、読みに来た自分がまるで場違いであるかのような錯覚すら覚えるかも知れません。
しかしちょっと待って下さい。引き返すのはまだ早い。
深呼吸を一つ、心を落ち着けて、この世界に足を踏み入れてみませんか?
それが出来た貴方なら、きっとすぐに『馴染む』はずです。
本作を構成しているあらゆる要素は、その過剰なほどに着飾られた外観とは裏腹に、どれもが『気さく』で『人当たりがいい』『気の良い奴ら』なのです。
それはまるで舞台である中華の町並みや人々のイメージを現わしているようでもあります。
嘘だと思うでしょうか?
そう思うなら二話三話と読んでみて下さい。
いつのまにか最初見たときあれほど難解だと感じていた文章や言い回しが、スラスラと頭に入ってくるようになっているはずです。
この体験には私も驚きました。
リズムでしょうか? 切れ味でしょうか?
とにかく本作の文体には、難解を平易に変える謎の技術が使われています。
クールなやり取りや異形の巨大ロボ、興味深い設定など本作の素晴らしい点は多々ありますが、あえて今回はこの類をみない劇薬のような文体について述べさせて頂きました。
必見です。
どうかこのむせかえる世界に自分の感覚が順応する体験をみなさんもぜひ!