美と秘法への憧れが紡ぎだす、鮮やかな幻想譚。

時は18世紀欧州、ザクセン王アウグスト二世に磁器製作を命じられた錬金術師ベットガーは、秘密保持のため、マイセンの城で幽閉生活を送っていた。
自身の知的好奇心から製作に取り掛かるベットガーだが、徐々に精神を病んでいく。彼を案じる医師や友人達は、王が彼に助手として与えた東洋人の少年・影青に、その理由があると疑うが……。


美しい磁器を追い求め、美しい少年に魅せられる主人公の幻想が、巧みな筆致で描きだされ、読者を眩惑します。ミステリー調の展開と、東洋と西洋二つの文化が織りなす世界の拡がりに、息を詰めて拝読しました。
故事「破甕救児」と、新しい文化の創造が重なる瞬間の感動に、立ち会わせて頂きました。素晴らしいです。

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