青の過程

作者 美木間

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★★★ Excellent!!!

王に求められ、白磁の精製に没頭する錬金術師、ベットガー。
己の好奇心に忠実でまじめな性格の彼は、研究熱心なあまり、
城内の工房に幽閉されたこの10年間で心身を病んでしまった。

ベットガーを気遣う友がいる。
彼らは、美少年、影青を疑う。
影青の素性は杳として知れぬ。
東方から来たというが、さて。

「破甕救児」の故事をモチーフにした東洋のエッセンスと、
18世紀初頭のドイツにいまだ存在した錬金術が混じり合う。
どこか異様で夢見心地な、そして童話めいて美しい物語。

★★★ Excellent!!!

美術品を前にしてため息をつく時に近い感動を覚えました。

いうなればオパール色の霧のような、しっとりと水気を帯びた深いものに包まれる気分でした。
上のほうに青い色が見えたので、海の底に沈んだ幻を感じているのかと思いきや、物語の終盤に向かうにつれ、見えたはずの青い色が、染料の色だったのだと気づきました。
きっと私は、物語を読むうちに、ベットガーと同じように磁器の魅力に翻弄され、白い磁器の内部に取り込まれたのだと思います。

このような内容が、物語に出てくるわけではありません。
不勉強でこの物語の舞台のことはよく知らないのですが、知らない私でもその世界に没頭できるように、磁器の生成に懸ける男の生き様が、細部まで丁寧に描かれています。
つまり、この作者は、表面上の出来事を描きながら、同時に、並行した宇宙のように物語の真髄を伝い這わすことができる稀有な方なのだと思います。

読み手の心の奥底深いところまで揺り動かしてくる、美の魔性にとりつかれた男の物語です。