近世欧州、舞い降りた東方の美童は、悪魔かもしれず、夢幻かもしれず

王に求められ、白磁の精製に没頭する錬金術師、ベットガー。
己の好奇心に忠実でまじめな性格の彼は、研究熱心なあまり、
城内の工房に幽閉されたこの10年間で心身を病んでしまった。

ベットガーを気遣う友がいる。
彼らは、美少年、影青を疑う。
影青の素性は杳として知れぬ。
東方から来たというが、さて。

「破甕救児」の故事をモチーフにした東洋のエッセンスと、
18世紀初頭のドイツにいまだ存在した錬金術が混じり合う。
どこか異様で夢見心地な、そして童話めいて美しい物語。

その他のおすすめレビュー

馳月基矢さんの他のおすすめレビュー354