砂糖をめぐる少女たちの甘くない物語

だいたい30分あったら読める今作品ですが、その30分の間に自分の価値観がガラリと変わってしまうような一服の劇薬となっています。
まるで、美しい通り魔にすれ違いざまに刺されたような感覚に襲われました。砂糖と少女たちのお話なのに、ぜんぜん甘くない。むしろ、ほろ苦い……。

私は歴史的背景と人物たちのドラマが巧みに織り交ぜられた歴史小説が好きなのですが、この小説は奴隷制やそれに支えられている人々たちの生活、零落したお嬢様が見た社会の暗部など、とても見事な筆力で描かれています。
何よりも、少女たちの甘く囁くような語りで人間と社会の闇や愚かさが描写されているのがたまらなく素晴らしかったです。

カクヨムの歴史小説の短編で何がいいかと言われたら、「まずは『砂糖はいかが。』を読め!」と薦めたいです。ぜひ、皆さんもご一読を!




(……素手で熊を倒せるあの方が絶賛していたから前々から気になってはいたのですが、読んで良かったぁ~(*´▽`*) 素晴らしい作品、ご馳走様でした!)

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