概要
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- ★★★ Excellent!!!──衝撃作
全ての資源が無くなった。その時私たちは、死を選ぶこと無く、私たち人間をもって生きながらえる。
建築資材、コンピュータ、食料、ありとあらゆる生活に必要なものを人間でまかなう社会。人間は不必要な可能性が高い者から選定され、人間のためにその身を犠牲にする。
この物語はそんな人肉を活用する社会において、選定された生きてはいない人間の人格を魂によって呼び覚まそうとする主人公のお話です。生き残るためとは言え、同胞を贄とすることは許されるのか。倫理的側面を考えさせられ、また幼少期に大脳を損傷した女性が絡み、社会の基幹や闇が明らかになっていきます。
衝撃的です。ぜひご覧ください。 - ★★★ Excellent!!!劣者のかがり火
人は食料であり、建材であり、計算資源である。
人が人をリソースとして使う狂った世界を静かに、けれど説得力を持って描く物語。
導入は伊藤計劃氏の著作や『PSYCHO-PASS』、星新一氏の『生活維持省』を連想させる作りです。
しかし、決して借り物の寄せ集めではありません。
これらは「ヒューマンリソース社会」という異常な世界を最大限分かりやすく描くため、あえて引き合いに出されたように思います。
その結果、「人が人を食べる」という禁忌が社会に組み込まれ、あくまで合理的に成り立つ様子をまざまざと見せつけられます。
社会を維持するコンピュータ――もちろん人脳製――に不適と判断された者は、明日には食…続きを読む - ★★★ Excellent!!!やがて倫理を越えた先。
一言で言って、衝撃的な作品だった。
ここまで救われている救いようのない物語はそうそうお目にかかれないに違いない。
人口増大に伴ってあらゆる資源が枯渇した世界で、日本という国家が選択したのは、人を資源として用いることだった。
脳を計算資源として、
骨を建築資源として、
肉を食料資源として、
皮膚や髪を被服資源として、用いることで、人が消費する資源を補う世界。
それは文中で引用されるスウィフトの言葉通り、戦争や経済紛争による他者からの強奪を必要としない、国家の内側で消費曲線と需要曲線の均衡を解決する『穏健なる提案』だ。
生きている限り投与された資源に似合う成果を発揮し続けると…続きを読む