面売りの行く先、怪奇は起こる。

神出鬼没な面売りが紡ぎ出す怪奇譚。話を動かす面売りは気の抜けたようなふんわりした物言いをしますが、そこはかとなく不穏な雰囲気を漂わせています。
「蟇」の話の不気味さとグロテスクさが特に印象的でした。そして「面妖異変」の恐ろしさとその結末の清々しさ。「面」を失ってしまう、わからなくなる恐怖がありありと伝わってきます。果たして彼を呪ったのは誰だったのか……。
さくさく読める物語でありながら、どの話も味わい深い逸品です。

その他のおすすめレビュー

伏見七尾さんの他のおすすめレビュー38