面妖異形譚

作者 帆場蔵人

38

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★★★ Excellent!!!

謎めいた『面売り』の青年によって織りなされる、オムニバス形式の物語。

彼から不思議な『お面』を受け取った者は、様々な怪異に見舞われたり、また逆に怪異から逃れられたり、心の中に潜む願望を具現したりと、様々なストーリーが描かれています。

作品全体には何とも不穏な空気が漂っておりますが、心温まるお話もあって、エピソードごとにそれぞれ違った楽しみがあるのも魅力。

これからも是非、更新していただきたいお気に入りの作品です!

★★★ Excellent!!!

本作は「面」をテーマにした、もう少し正確に言えば、その世界の暗闇めいたエピソードを「面売り」なる人物とともに見ていくホラーアンソロジーである。

面とはいわゆる「お面」のことだが、転じて人物の顔などを示す言葉でもある。
実は、この面売りが登場するというだけで、作品それ自体はかなり多様である。
口裂け女の化粧から蟇蛙の呪いに至るまで、ホラーといえばホラー、面が関係しているといえば面が関係しているが、かなり趣の異なったお話が展開される。
中には、小悪党の悪事を、面売りがちょっとした「必殺仕事人」として撃退するものもあるが、学校の怪談めいた少し不思議な話から、かなりグロテスクな表現で読者の背筋を凍らせてくるものもある。

本作を読んでいて思うのは、ジャンルとは文体なのだという素朴な事実だ。
私たちは様々な文体を本作で楽しむことができる。
そして、そういった異なった文体による小話を、言わばまたぐような形で面売りが登場していることに気づくとき、キャラクターが文体差を越境しているという事実にもまた気づくのである。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=村上裕一)

★★ Very Good!!

『面』をテーマに奇妙で奇怪な物語がオムニバス形式に出てくるのは自分好みでした。
多種多様な意味や物語を内包する『面』だからこそ、バラエティに富んだホラーファンタジーとして成立しているのだと思います。そのバランスも絶妙でした。
作品全体を通して『モノノ怪』を観た時のような印象を受けました。

ただもう少し『オチ』の部分に気を配って、全て分かりやすく解明してしまうのではなく、ある程度読者の想像力を信用して『ぼかし』てみるのも手法として選択できるのではないかなと思いました。
更にこれも個人的な好みの問題ですが、連作を投下するより短編形式のままで進んでいき、その中にストーリーを組み込んでいってほしかった気もします。
コメディな会話パートも微妙に作風とズレているように感じ、異質だったり飄々とした部分は『面売り』という強い個性を持ったキャラに任せても良いんじゃないかとも感じました。

とは言えやはり好きなジャンルですので、今後この物語がどのような『面』を見せてくれるのか、期待したいと思います。

★★ Very Good!!

神出鬼没な面売りが紡ぎ出す怪奇譚。話を動かす面売りは気の抜けたようなふんわりした物言いをしますが、そこはかとなく不穏な雰囲気を漂わせています。
「蟇」の話の不気味さとグロテスクさが特に印象的でした。そして「面妖異変」の恐ろしさとその結末の清々しさ。「面」を失ってしまう、わからなくなる恐怖がありありと伝わってきます。果たして彼を呪ったのは誰だったのか……。
さくさく読める物語でありながら、どの話も味わい深い逸品です。

★★★ Excellent!!!

掬っても届かざる深淵が如しでありました!
どこにでも神出鬼没に現れて、押し付けがましい善意なのか商売根性なのかよく分からない行動を取る面売りさんの、
底知れぬ魅力が物語とも密接に通じていて、どの話も一筋縄ではいきません。だがソコがいいんですっ底だけに!
オムニバス形式なのでちょっとした隙間時間にもオススメですねこれは。面白くてなかなかぬけだせませんが。そこもまたよし!

★★★ Excellent!!!

 読み始めからズバッと読ませていただきましたが....途中に入る短編といいオチが物凄く完全に計算されたかのような展開が広がっています!
 特にホラー要素とコメディ要素の絶妙的な比率! 感動物ですよこれ!
 是非皆様も読んでストーリーに飲み込まれてください!

★★★ Excellent!!!

コピーに惹かれ、読んでみました。

神出鬼没な面売りが売る面と彼に関わった人々が織りなす不可思議なオムニバスホラーです。

すっと背筋が寒くなる感覚が絶妙ですね。

また、善人とも悪人とも判断のできない面売りの正体が今後どのように明かされるのか、或いは明かされないのか、続きが楽しみです。

★★★ Excellent!!!

キャッチ見た瞬間で面白いと確信しました。さっそく三話まで読ませて戴いてのお薦めレビューとなります。

お面のお話……。ホラー好きならにやっとするかも知れません。しかし、この物語には、ある1文が織り込まれています。

「言葉には力が宿ることがあるからね。馬鹿に出来ない」

ただのホラーではない。言葉に力が宿る面妖なホラーです。なるほど、内容は怪談のようでもあり、近年のホラーラノベのようでもあり、純文学のようでもあり。昔話の懐かしさも感じる。
お面を中心に、多方面からの「面妖とは」を追い求め、言葉も大変丁寧に扱われているところに好感が持てました。

テーマ(面妖)がすでにしっかり据えられているので、読み手としては、「どんなお面のお話が?」とわくわくさせられます。

ときおり落語のような洒落たお話もあったり、ちょっとぞっとする展開だったり。人は色んなお面を被りますからね。
貴方も共感できるお面が見つかるかも知れません。

どうですか?面妖なホラー、是非ともお薦め☆☆☆で。