百の面相、百の物語

『面』をテーマに奇妙で奇怪な物語がオムニバス形式に出てくるのは自分好みでした。
多種多様な意味や物語を内包する『面』だからこそ、バラエティに富んだホラーファンタジーとして成立しているのだと思います。そのバランスも絶妙でした。
作品全体を通して『モノノ怪』を観た時のような印象を受けました。

ただもう少し『オチ』の部分に気を配って、全て分かりやすく解明してしまうのではなく、ある程度読者の想像力を信用して『ぼかし』てみるのも手法として選択できるのではないかなと思いました。
更にこれも個人的な好みの問題ですが、連作を投下するより短編形式のままで進んでいき、その中にストーリーを組み込んでいってほしかった気もします。
コメディな会話パートも微妙に作風とズレているように感じ、異質だったり飄々とした部分は『面売り』という強い個性を持ったキャラに任せても良いんじゃないかとも感じました。

とは言えやはり好きなジャンルですので、今後この物語がどのような『面』を見せてくれるのか、期待したいと思います。

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