日本に原爆が落とされる日、少年たちと少女は運命と向かいあう

広島に住む高校生の「桃弥」と「音々」は幼馴染同士だったのですが、アメリカ大統領が広島を訪問した日、不思議な少年「時正」と出会います。
どことなく古めかしい格好をしていた彼は一九四五年八月からタイムスリップしてきたのです。

そして桃弥たちと時正の間に縁があることがわかり始めた直後に、今度は三人が終戦間近の広島にタイムスリップしてしまい……。

明るい物語ではありませんが、その底辺には「平和への願い」「家族愛」「命と向き合う大切さ」などいくつものテーマが描かれており、同時に「桃弥」と「音々」の青春物語でもあります。

戦時中でも懸命に生きようとする人々、原爆に人生を狂わされながらも家族を思いやる姿が繊細な心理描写を交えて読みやすく描かれていて、スムーズに最後まで読むことができました。

日本の夏を感じさせる切ない物語でした。


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