カクテル

「今日のおすすめは?」「憂鬱、幸福、焦燥です」「じゃあ、憂鬱と焦燥を頂こうかしら」かしこまりました、とバーテンダーが後ろの棚から二本の瓶を取り出す。しばらくして、タンブラーが差し出された。ゆっくりと口をつけ、無色透明の感情を舌で転がす。甘辛く、ねっとりと喉に絡みつく味わいだった。

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