扇風機とワイシャツ
かすかにマルボロの匂いが残る部屋。扇風機が気だるげに、生温く湿った空気を部屋中にかき回す。私には少し大きいワイシャツを羽織ると、記憶の中の温もりに鼓動が段々と早くなるのを抑えられなくなる。この部屋を訪れ始めてから何度目かも分からない思考を一通りなぞったところで、鍵の開く音がした。
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