硬水

ドアベルが鳴った。女性がカウンターについて、仏頂面で目線を向けてくる。「南アルプス。ロックはコントレックスで」いつもボルヴィックの彼女にしては珍しい注文だ。「何か、嫌なことでも?」そうでなければ、飲んでいるうちに味が硬くなる飲み方などする筈が無い。「……マスター、聴いてくれる?」

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