柔らかな闇に包まれた森の奥。律儀に畳まれたワンピースが気温に平衡していく。「もう、行くね」少しずつ背が低くなっていく後ろ姿に声をかけられなくて、無意識に伸ばした右腕を押さえつけた。自慢だった長い黒髪が水面に浮かんで、消える。さよならのかわりに、水紋が消えるまで僕はここにいるから。

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